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血縁の犬同士を交配させる近親交配はブリーダーの間で一般的に行われているものの、一部の交配方法には問題があるとも言われています。健康な犬を家族に迎え入れたいのであれば、ブリーダーがどのように交配を行っているのか、近親交配によってどのような問題が起こりえるのか、知っておくとよいでしょう。
当記事では、犬の交配方法や近親交配を行った際の問題点について解説します。ぜひ当記事を、優良なブリーダーから犬をお迎えする際の参考にしてください。
目次
犬を交配させる方法には、大きく次の3種類の方法があります。
・インブリーディング
極近親繁殖ともいい、親子(母と息子、父と娘)や兄妹、姉弟など、血縁関係が近い犬同士で交配させることです。
・ラインブリーディング
叔父と姪、叔母と甥、祖父と孫娘のように、インブブリーディングより血縁関係の薄い犬同士で交配します。系統繁殖とも呼ばれる交配方法です。
・アウトブリーディング
系統的にも血縁的にも関係のない犬同士で交配させる方法です。基本的には5世代までさかのぼり、同じ祖先がいない犬同士であれば、アウトブリーディングが成立します。
犬の血統証明書を発行している一般社団法人ジャパンケネルクラブにおいて、極近親繁殖であるインブリーディングを行うには審査が必要とされています。インブリーディングにはメリットとデメリットがあり、慎重に行う必要があるためです。
アウトブリーディングが唯一、近親交配に当たらない交配方法です。どのブリードを行ったのかは、犬の血統証明書で確認できます。
犬の近親交配が行われる理由には、大きく2つが挙げられます。
ブリーダーは、ただ仔犬を作ることを目的にしているわけではありません。よりよい仔犬、特に見た目のよい個体を生み出すことを目的として繁殖が行われます。
親子や兄弟、姉妹であれば、同じ「美しい見た目を作る遺伝子」を持っている可能性が高く、血縁関係のある犬同士で交配させれば「優秀な仔犬」は生まれやすくなります。
また、犬が珍しい犬種である場合、アウトブリーディングをしたくても、相手の犬が見つからないということも少なくありません。純血種としての犬種を守るため、そして貴重な犬種を絶やさないための手段として、近親交配を行っているケースもあります。
仔犬は、両親犬がどれだけ優秀で美しい特徴を持っていたとしても、その長所だけを受け継いで生まれるわけではありません。短所を受け継いで生まれてくる可能性もあり、近親交配を行った場合、短所をより濃く受け継いでしまうことがあります。具体的には、近親交配では奇形や感覚障害などの先天的な障害を持った犬が生まれるリスクが存在します。
交配では、「優性遺伝子」と「劣性遺伝子」が大きく関わります。近年では「顕性遺伝子」「潜性遺伝子」という言葉も使用される遺伝子上の問題点について、ここでは紹介します。
人間を含め、生き物の遺伝子には優性遺伝子と劣性遺伝子が混在しています。優性遺伝子は1つでもあれば特性が発現しますが、劣性遺伝子は2つそろわないと特性が発現しません。
例えば、A遺伝子は犬を短毛にして、a遺伝子は長毛にする特性があると仮定しましょう。
この2つのうち、Aの遺伝子が優性遺伝子の場合、A遺伝子を1つでも持っていると、aの遺伝子を持っていたとしても長毛の特性は現れません。一方で長毛は、aの遺伝子が2つそろうことで初めて発現します。
遺伝子は見た目以外にも骨の形や体の機能にも関係しています。血縁関係のない犬同士で交配すれば、同じ遺伝子をたまたま持っていない限り、異常を発現することはありません。
しかし、血縁関係のある犬同士で交配する近親交配では、同じ遺伝子を持つ犬同士の遺伝子が何度もかけあわされることで、遺伝子の多様性が失われていきます。そのため、アウトブリーディングしたときよりも、異常特性を持つ劣性遺伝子が子孫に現れる可能性が高くなります。
犬に発症する遺伝子疾患にはさまざまな種類があります。犬の品種ごとに下記のような遺伝疾患になりやすいと言われています。
トイプードル
チワワ
ミニチュア・ダックスフンド
柴犬
遺伝疾患は先天的、つまり「生まれつき」の障がいです。そのため、もし何かの奇形や機能障害を持って生まれた場合、生まれた後にどのような治療をしたとしても根本的に病気を治療することはできません。
近親交配を行うと、生まれてくる仔犬がこのようなリスクを負う可能性があるだけでなく、発症した場合、完全に治すのが難しいということを知っておかなくてはなりません。
遺伝疾患の可能性を完全になくすことはできません。しかし、遺伝疾患の原因となる遺伝子はある程度までは特定されてきています。専門家が可能な限り親犬の遺伝子検査を実施し、遺伝疾患の原因になる犬を繁殖に使わないようにすれば、仔犬の遺伝子疾患を予防していくことができます。
それでも、見た目がよい仔犬のほうが高く売れるからと、あえて近親交配をくり返しているブリーダーがいるのも事実です。
この負のループを防ぐには、ペットをこれから家に迎えようと考えている方一人ひとりが、健全な犬を育てているブリーダーの選定をしていくことが大切です。よいブリーダーを選定すると、結果として遺伝子疾患を持つ仔犬を減らし、仔犬と飼い主の苦しみを防ぐことにつながります。
よいブリーダーを選ぶためには、ブリーダーのスタンスを知り、ルールを守ってブリーディングを行っているか確認する必要があります。例えば、犬の交配を行うときには、以下のようなさまざまなルールや注意点が設けられています。
出典:一般社団法人ジャパンケネルクラブ「交配を行なう際に、注意すべきことを教えてください」
ルールを守り、適切な繁殖を行っていると確認できるブリーダーは、健全な犬を育てていると判断してよいでしょう。
大切な家族の一員が、将来難病で苦しまないようにするためにも、ペットショップに行く際は、犬の血統証明書を確認するようにしましょう。また、血統書以外にも、ブリーダーが犬に対して遺伝的な面から見た健康管理を行っているかどうか、合わせて確認することをお勧めします。
犬の交配には、近親交配にあたるインブリーディングとラインブリーディング、近親交配にあたらないアウトブリーディングという3つのやり方があります。このうちインブリーディングは極近親繫殖とも呼ばれ、遺伝子疾患をもって生まれる可能性が高まるため、届出なしで行うことはできません。
犬の遺伝子疾患には優性遺伝子や劣勢遺伝子がかかわります。うまく交配することで遺伝子異常を防げるため、ブリーダーには適切な交配が求められます。犬を家族として迎える際も、ブリーダーが優良か、犬の一生を考えて交配を行っているかどうか必ず確認するようにしましょう。
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血縁の犬同士を交配させる近親交配はブリーダーの間で一般的に行われているものの、一部の交配方法には問題があるとも言われています。健康な犬を家族に迎え入れたいのであれば、ブリーダーがどのように交配を行っているのか、近親交配によってどのような問題が起こりえるのか、知っておくとよいでしょう。
当記事では、犬の交配方法や近親交配を行った際の問題点について解説します。ぜひ当記事を、優良なブリーダーから犬をお迎えする際の参考にしてください。
目次
1.犬の近親交配とは?
犬を交配させる方法には、大きく次の3種類の方法があります。
・インブリーディング
極近親繁殖ともいい、親子(母と息子、父と娘)や兄妹、姉弟など、血縁関係が近い犬同士で交配させることです。
・ラインブリーディング
叔父と姪、叔母と甥、祖父と孫娘のように、インブブリーディングより血縁関係の薄い犬同士で交配します。系統繁殖とも呼ばれる交配方法です。
・アウトブリーディング
系統的にも血縁的にも関係のない犬同士で交配させる方法です。基本的には5世代までさかのぼり、同じ祖先がいない犬同士であれば、アウトブリーディングが成立します。
犬の血統証明書を発行している一般社団法人ジャパンケネルクラブにおいて、極近親繁殖であるインブリーディングを行うには審査が必要とされています。インブリーディングにはメリットとデメリットがあり、慎重に行う必要があるためです。
アウトブリーディングが唯一、近親交配に当たらない交配方法です。どのブリードを行ったのかは、犬の血統証明書で確認できます。
1-1.犬の近親交配が行われる理由
犬の近親交配が行われる理由には、大きく2つが挙げられます。
ブリーダーは、ただ仔犬を作ることを目的にしているわけではありません。よりよい仔犬、特に見た目のよい個体を生み出すことを目的として繁殖が行われます。
親子や兄弟、姉妹であれば、同じ「美しい見た目を作る遺伝子」を持っている可能性が高く、血縁関係のある犬同士で交配させれば「優秀な仔犬」は生まれやすくなります。
また、犬が珍しい犬種である場合、アウトブリーディングをしたくても、相手の犬が見つからないということも少なくありません。純血種としての犬種を守るため、そして貴重な犬種を絶やさないための手段として、近親交配を行っているケースもあります。
2.犬の近親交配の問題点
仔犬は、両親犬がどれだけ優秀で美しい特徴を持っていたとしても、その長所だけを受け継いで生まれるわけではありません。短所を受け継いで生まれてくる可能性もあり、近親交配を行った場合、短所をより濃く受け継いでしまうことがあります。具体的には、近親交配では奇形や感覚障害などの先天的な障害を持った犬が生まれるリスクが存在します。
交配では、「優性遺伝子」と「劣性遺伝子」が大きく関わります。近年では「顕性遺伝子」「潜性遺伝子」という言葉も使用される遺伝子上の問題点について、ここでは紹介します。
2-1.優性遺伝子と劣性遺伝子
人間を含め、生き物の遺伝子には優性遺伝子と劣性遺伝子が混在しています。優性遺伝子は1つでもあれば特性が発現しますが、劣性遺伝子は2つそろわないと特性が発現しません。
例えば、A遺伝子は犬を短毛にして、a遺伝子は長毛にする特性があると仮定しましょう。
この2つのうち、Aの遺伝子が優性遺伝子の場合、A遺伝子を1つでも持っていると、aの遺伝子を持っていたとしても長毛の特性は現れません。一方で長毛は、aの遺伝子が2つそろうことで初めて発現します。
遺伝子は見た目以外にも骨の形や体の機能にも関係しています。血縁関係のない犬同士で交配すれば、同じ遺伝子をたまたま持っていない限り、異常を発現することはありません。
しかし、血縁関係のある犬同士で交配する近親交配では、同じ遺伝子を持つ犬同士の遺伝子が何度もかけあわされることで、遺伝子の多様性が失われていきます。そのため、アウトブリーディングしたときよりも、異常特性を持つ劣性遺伝子が子孫に現れる可能性が高くなります。
2-2.近親交配による影響
犬に発症する遺伝子疾患にはさまざまな種類があります。犬の品種ごとに下記のような遺伝疾患になりやすいと言われています。
トイプードル
チワワ
ミニチュア・ダックスフンド
柴犬
遺伝疾患は先天的、つまり「生まれつき」の障がいです。そのため、もし何かの奇形や機能障害を持って生まれた場合、生まれた後にどのような治療をしたとしても根本的に病気を治療することはできません。
近親交配を行うと、生まれてくる仔犬がこのようなリスクを負う可能性があるだけでなく、発症した場合、完全に治すのが難しいということを知っておかなくてはなりません。
3.犬を迎えるときに気を付けたいこと
遺伝疾患の可能性を完全になくすことはできません。しかし、遺伝疾患の原因となる遺伝子はある程度までは特定されてきています。専門家が可能な限り親犬の遺伝子検査を実施し、遺伝疾患の原因になる犬を繁殖に使わないようにすれば、仔犬の遺伝子疾患を予防していくことができます。
それでも、見た目がよい仔犬のほうが高く売れるからと、あえて近親交配をくり返しているブリーダーがいるのも事実です。
この負のループを防ぐには、ペットをこれから家に迎えようと考えている方一人ひとりが、健全な犬を育てているブリーダーの選定をしていくことが大切です。よいブリーダーを選定すると、結果として遺伝子疾患を持つ仔犬を減らし、仔犬と飼い主の苦しみを防ぐことにつながります。
よいブリーダーを選ぶためには、ブリーダーのスタンスを知り、ルールを守ってブリーディングを行っているか確認する必要があります。例えば、犬の交配を行うときには、以下のようなさまざまなルールや注意点が設けられています。
出典:一般社団法人ジャパンケネルクラブ「交配を行なう際に、注意すべきことを教えてください」
ルールを守り、適切な繁殖を行っていると確認できるブリーダーは、健全な犬を育てていると判断してよいでしょう。
大切な家族の一員が、将来難病で苦しまないようにするためにも、ペットショップに行く際は、犬の血統証明書を確認するようにしましょう。また、血統書以外にも、ブリーダーが犬に対して遺伝的な面から見た健康管理を行っているかどうか、合わせて確認することをお勧めします。
まとめ
犬の交配には、近親交配にあたるインブリーディングとラインブリーディング、近親交配にあたらないアウトブリーディングという3つのやり方があります。このうちインブリーディングは極近親繫殖とも呼ばれ、遺伝子疾患をもって生まれる可能性が高まるため、届出なしで行うことはできません。
犬の遺伝子疾患には優性遺伝子や劣勢遺伝子がかかわります。うまく交配することで遺伝子異常を防げるため、ブリーダーには適切な交配が求められます。犬を家族として迎える際も、ブリーダーが優良か、犬の一生を考えて交配を行っているかどうか必ず確認するようにしましょう。
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