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2022.09.26 子犬コラム

保護犬とは?実態や保護犬を飼う方法・心構えについて解説

保護犬とは?実態や保護犬を飼う方法・心構えについて解説

犬は、ペットとして人々の暮らしに大きな癒しをもたらしてくれる存在です。しかし、さまざまな事情で保護され、幸せに暮らすことができない犬がいる現状を忘れてはなりません。保護された犬はどのような状況に置かれ、その後どのような運命をたどるのでしょうか。

当記事では、保護犬の実態と殺処分の現状について紹介し、保護犬を飼う方法を具体的にお伝えします。保護犬を新しい家族として迎えることも視野に入れるのであれば、正しい知識を身につけ、理解を深めておきましょう。

 

1.保護犬とはどんな犬?

保護犬とは、さまざまな事情で保健所や保護施設に引き取られ、一時的に保護されている犬のことです。保護される理由には以下のような事情があります。

  • 飼い主の都合(病気、転勤など)で保健所などに持ち込まれた
  • 飼育放棄で捨てられ、保護団体に発見された
  • 迷子になって保護されたが飼い主が見つからない
  • 動物取扱業者(ブリーダー・ペットショップなど)が管理しきれずに廃業した
  • 子を産めなくなった繁殖犬がブリーダーに遺棄された

日本では、野犬が地域住民に危害を加えることを防ぐため、保健所などが積極的に保護しています。保健所で保護された犬は原則として殺処分が前提となっていますが、近年では、保護犬を新しい飼い主に引き渡す活動が全国的に広がっています。

ここでは、さまざまな事情により保護された犬の現状を詳しく解説します。

 

1-1.保護犬の実態

保護された犬は、保健所でおおむね1週間ほど収容され、一定の条件を満たしていれば里親希望者への譲渡、または飼い主への返還が行われます。しかしながら、条件を満たすことができなかった保護犬は、原則として殺処分されるのが現状です。

環境省の資料によると、2020年度の保護犬の引取り数は27,635頭で、そのうち所有者不明の保護犬が約90%を占めています。所有者不明の保護犬はそのほとんどが野良犬であり、「感染症などの病気」「攻撃性があり譲渡に適さない」などの理由から、やむなく殺処分の対象となります。2020年度も4,000頭以上の犬が殺処分されました。

出典:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」

しかし、自治体や動物保護団体の努力により、保護犬の殺処分数は大きく減少傾向にあることは注目すべきポイントです。

 

1-2.保護犬の殺処分を減らす取り組み

環境省は殺処分を減らすための対策として、2014年に下記3つのプランを発表しました。最終的には殺処分ゼロを目指し、飼い主や事業者、行政、ボランティア団体などが一体となって保護活動を進めることを目標としています。

・飼い主・国民の意識の向上

飼い主・国民に対し、犬を飼うことへの責務についての啓発活動を行い、飼い主などの意識の向上を図っています。具体的な活動内容は、学校などと連携した教育活動の推進や、著名人を起用した映像を制作し「犬猫の適正な飼い方や管理」について普及するなどの活動です。飼い主が責任を持って犬を飼うことができるよう、取り組みを続けています。

・引取り数の削減

保健所による引取り数の削減を進め、殺処分数を相対的に減らす取り組みです。無責任な飼い主を減らしたり、警察と連携して遺棄・虐待を防止するなどの取り組みにより、引取り数を減らすことを目的としています。2012年に改正された動物愛護管理法では「可愛くなくなった」「引っ越しで飼えなくなった」という安易な引取りの申請を拒否できるようになったこともあり、引取り数は年々減少しています。

・返還と適正譲渡の推進

引き取った保護犬を所有者に返還したり、適正な里親へと譲渡したりする取り組みです。犬の所有を明確にするためのマイクロチップの装着や自治体の管轄を越えて譲渡を推進するなど、積極的な支援が進められています。

出典:環境省「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト アクションプラン」

 

2.保護犬を飼うには?

保護犬を飼うことは、さまざまな事情で身寄りをなくした犬が新たな飼い主に出会い、失われかけていた尊い命を救うことにつながります。また、多くの保護犬はすでに成長した成犬であるため、「子犬と比べてケガや病気の心配が少ない」「トイレのしつけができている」など成犬であるがゆえの飼いやすさも感じられるでしょう。

では、保護犬を飼うためにはどのような手続きが必要なのでしょうか。ここでは、保護犬を飼うための方法と手続きの流れについて解説します。

 

2-1.保健所を利用する

保健所の保護犬を引き取るための手続きは、各都道府県の保健所が管理する動物愛護センター(自治体によって名称は異なる)を通して行います。保護犬の譲渡を受けるためには、飼育環境などの条件を満たしているかどうかの審査や、保護犬飼育のための事前講習などを受ける必要があります。自治体によって違いはありますが、手続きのおおまかな流れは以下の通りです。

【保護犬引取りまでの流れ】

  • 動物愛護センターに譲渡希望の連絡をする
  • 譲渡前講習を受ける
  • 飼育環境、家族構成、不妊去勢手術ができるかどうかなどを確認される
  • 保護犬とのマッチング
  • 書面による手続き後に譲渡が成立

 

2-2.譲渡会を利用する

保護犬の譲渡会は、動物愛護センターや民間の保護団体などが開催している保護犬と里親とをつなぐための活動です。環境省や保護団体のホームページから、開催場所や日時をチェックすることができます。保護団体によっては、相性テストや一定のトライアル期間を設け、飼育環境に問題がないかを判断した上で譲渡が実施されます。

【保護犬引取りまでの流れ】

  • 譲渡会の開催情報を検索し、参加の申込みをする
  • 保護犬と触れ合いながらマッチング
  • 譲渡希望の申込み
  • 条件によりトライアル飼育
  • 書類手続き後に譲渡が成立
  • 必要に応じて保護団体との飼育相談

 

2-3.里親募集サイトを利用する

里親を募集しているサイトは数多くあり、引取り手を募集しているのは、何らかの理由で飼えなくなった個人から民間の保護団体までさまざまです。保護犬との対面にあたっては、保護団体の施設や、個人の場合はドッグカフェなどを利用し、譲渡に問題がないかをお互いにしっかりと確認しましょう。

【保護犬引取りまでの流れ】

  • 里親募集サイトから譲渡希望の連絡をする
  • 募集相手と譲渡条件や引き渡し日を確認する
  • 保護犬と対面し、性格や飼育の注意点などを確認
  • 条件によりトライアル飼育
  • 書面契約を結び、譲渡が成立

 

3.保護犬を飼うときの心構え

保護犬を引き取るためには、飼い主の家族構成や自宅の飼育環境に対して一定の条件があります。保護犬の中には、つらい経験をしている犬も少なくありません。譲渡の条件は保護犬たちを守るためのものであり、新しい飼い主となる里親にも相応の心構えが必要です。

・保護犬のための生活環境を整えてあげる

新しく迎える犬がどのような環境で暮らしてきたのか、譲渡の際にしっかりと説明を受け、適切な生活環境を整えてあげましょう。つらい経験をしてきた犬にとっては、新しい環境に慣れるまで時間がかかることもあるかもしれません。少しでもリラックスして過ごすことができるよう、家族との距離感や接し方にも最大限の配慮をしましょう。

・終生にわたって責任を持って飼育する

犬には15年以上の命があり、ペットとして迎えたからには最後を看取るまで責任をもって飼育する必要があります。高齢になって認知症などの介護が必要になった場合でも、責任を全うする覚悟が必要です。また、家庭環境や生活パターンに変化があった場合でも、継続して飼育できるかどうか考えておきましょう。

・悲しい思いをさせないようにする

さまざまな理由で保護犬となった犬は、心に傷を負っている可能性もあります。暴力や虐待を経験し犬は人間への信頼を失っていることもあり、なかなか心を開いてくれないかもしれません。二度と悲しい思いをさせないよう、人間への恐怖心や威嚇行動が見られた場合は、焦らずに根気よく関係を築いていきましょう。

・保護犬の性格を理解してあげる

保護犬の性格は、保護施設側がある程度把握しているため、譲渡を受ける際には細かく説明を受けましょう。「活発なのか、穏やかなのか」「人懐っこいのか、シャイなのか」それぞれの性格によって犬への接し方や飼育方法が変わってくるため、しっかりと性格を理解してあげることが大切です。

 

まとめ

保護犬となった背景には不慮の事故などやむを得ないケースもありますが、ほとんどが命の責任を考えない人間の無責任な行動によるものです。そのような保護犬を1頭でも多く新しい飼い主に引き渡すため、多くの保護団体やボランティアが努力を続けています。

アニマルラインは、ブリーダーや里親を探している人をサポートするマッチングサイトです。保護犬が新たな飼い主のもとで幸せな一生を過ごすことができるよう、優しい絆をつなげていきます。