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2022.09.20 子犬コラム 子猫コラム

動物愛護法改正とは?変更点をわかりやすく解説

動物愛護法改正とは?変更点をわかりやすく解説

動物愛護管理法は、犬や猫を飼育している人であれば知っておく必要のある法律です。法律の名前は聞いたことがあっても、具体的にどのような内容が記載されているか知らない方もいるでしょう。

また、動物愛護管理法は段階的に法改正が行われています。改正により、動物を飼育するときのルールはどのように変わったのでしょうか。

当記事では、動物愛護管理法とはどのような法律なのかを説明した上で、2019年の動物愛護管理法改正による変更点を分かりやすく解説します。これから犬や猫を迎えようと考えている方はぜひ参考にしてください。

 

1.動物愛護管理法とは?

動物愛護管理法とは、主に動物の虐待や遺棄を防止するために定められた法律です。正式名称を「動物の愛護及び管理に関する法律」と言い、「動物愛護法」と呼ばれることもあります。犬猫等販売業者のみに限らず、動物所有者全般に向けられたルールが規定されています。動物愛護を通じて人と動物たちが共生できる社会を作ることも、動物愛護管理法の目的の1つです。

また、国民の間に動物愛護と適正飼養を広めるために、「動物愛護週間」が定められています。毎年9月20日から9月26日に国および地方公共団体が主体となり、啓発ポスターの掲示やイベントの開催などを行い、動物愛護の普及啓発活動を実施しています。

動物愛護管理法では、愛護動物に対する虐待行為に厳しい罰則が定められており、懲役刑や罰金刑が課せられる場合があります。また、飼育動物だけでなく実験動物や展示動物、畜産動物などにも飼育や保管に関する基準が定められています。

動物愛護管理法を守ることは個人の努力義務とされていますが、動物を所有するすべての人が責任を持ち、動物愛護管理法で定められたルールを守ることが大切です。

出典:環境省「動物愛護管理法の概要」

 

2.動物愛護管理法改正による変更点

動物愛護管理法は、1973年に定められた「動物の保護及び管理に関する法律」の名称を変更し、内容を改定した法律です。2000年に施行され、2019年6月には「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、段階的に施行されています。

ここでは、2019年に改正された動物愛護管理法の内容を具体的に紹介します。

 

2-1.第一種動物取扱業による適正飼育等の促進等

動物愛護管理法改正により、第一種取扱業の登録拒否事由が追加されました。また、登録拒否期間が延長されたり、関連違反法令が追加されたりするなど、第一種動物取扱業に関するルールが一部変更になり、登録の条件が厳しくなりました。

第一種動物取扱業者が犬や猫を販売する際、販売場所は事務所に限定されます。改正前は販売場所に決まりがなかったため、インターネット販売や移動販売などが行われていました。ルールの変更により実際に犬や猫が育った環境を確認することができ、ネット販売で起こるトラブルの防止が期待できます。

さらに犬猫の販売時期に関する規定も改正されました。以前までは生後49日以下の犬猫の販売は禁止されていましたが、法改正後は生後56日以下の犬猫の販売が禁止されています。

幼齢期に母親や兄弟から引き離された犬や猫は社会性が身につかず、吠えたり、噛んだりといった問題行動が増える傾向にあります。問題行動が解決しなければ、飼育放棄や殺処分される犬猫が出てくる恐れがあるため、法改正により犬猫の飼育放棄の抑制が期待されます。

出典:環境省「改正動物愛護管理法の概要」

 

2-2.動物の適正飼育のための規制の強化

虐待行為に対する厳罰が強化されたのも、法改正による変更点の1つです。2019年6月の改正では、愛護動物をみだりに殺傷した場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に課せられます。また、以前は罰金のみだった動物を虐待・遺棄した場合の罰則には、1年以下の懲役刑が追加されています。罰則の対象となる虐待行為は以下の通りです。

  • ・動物の身体に外傷が残るほどの暴力や、外傷が残る恐れのある行為
  • ・エサや水を与えず、健康や安全を保持することが難しい場所拘束し、酷使する行為
  • ・飼養施設の密度が著しく高い場所で飼育・保管し衰弱させること
  • ・動物のケガや病気に適切な処置を行わないこと
  • ・排せつ物や動物の死体が放置された場所で飼育・保管すること

また、以前は飼養頭数が多く適正飼養が困難な場合、不妊去勢手術を行い繁殖防止に務めることは「努力義務」でしたが、法改正により義務化されました。行きすぎた多頭飼育などの飼養環境の悪さが認められると、都道府県知事等により指導や助言が行われ、飼養施設に立ち入り検査が実施されることがあります。

出典:環境省「改正動物愛護管理法の概要」

 

2-3.マイクロチップの装着

2022年6月より、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬猫には、マイクロチップの装着が義務化されました。動物販売業者は生後90日を経過した日から30日以内に、環境省が定めた基準を満たしているマイクロチップを装着する必要があります。また、マイクロチップを装着している犬猫を購入や譲渡された場合、所有者情報の変更届の提出が義務化されました。現在すでに飼育している犬猫については、マイクロチップの装着は義務化されておらず、飼養者の努力義務となっています。

マイクロチップは直径1~2mm、長さ8~12mmで、ポリマーや生体適用ガラスで覆われた筒状の小さな電子機器です。各チップに個体識別番号が記録されており、専用のリーダーを使用すると識別番号を読み込むことができます。

マイクロチップを装着すると、迷子や災害時の身元確認が容易になります。首輪をしていない迷子の場合は、飼い主を探す手段がないため、飼い主が名乗り出なければ殺処分されてしまうかもしれません。マイクロチップが装着されていると、飼い主の身元がすぐに分かり、殺処分を減らせるだけでなく、飼育放棄や飼育遺棄を予防することもできるでしょう。

犬猫のマイクロチップ装着は世界各国で採用されており、ペット先進国では装着の義務化が進んでいます。国によっては、マイクロチップを装着していないペットの輸入が全面的に禁止されているため、海外にペットを連れていく場合は注意が必要です。

出典:環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録について」

 

2-4.都道府県等の措置等の拡充

改正された新たな動物愛護管理法では、動物愛護管理センターの業務について規定されました。定められた業務は以下の通りです。

  • ・動物取扱業の登録、届出、監督
  • ・動物を飼養管理する人への指導、助言、勧告、命令、報告徴収、立入調査
  • ・特定動物の飼養・保管の許可、監督
  • ・犬猫の引取り、譲渡
  • ・動物の愛護および管理に関する啓発活動
  • ・その他動物の愛護や飼育のために必要な業務

出典:環境省「改正動物愛護管理法の概要」

動物愛護管理センターは犬猫の引取りや譲渡だけでなく、動物愛護を広く啓発する活動を行っています。

また、都道府県による犬猫の引取りと引取り拒否事由も新たに追加されました。以前までは、所有者が分からない犬猫の引取りを求められた際は、引取りをしなければならないと定められていました。しかし今回の法改正で、周辺の環境が損なわれる可能性がないと判断された場合、動物愛護管理センターは犬猫の引取りを拒否できるようになります。

行政が積極的に野良犬や野良猫を引き取ることで、殺処分が増加し、動物愛護に反するという考えが今回の法改正につながりました。近年、所有者はいないけれど地域の人が世話をしている「地域猫」の存在も認知されつつあります。地域によっては、野良猫の不妊去勢手術費用を一部負担するなど、地域猫の活動の支援を行っています。

 

まとめ

動物愛護管理法とは、動物への虐待や遺棄を防止し、人と動物が共生できる社会を作ることを目的に作られた法律です。2019年6月に動物愛護管理法の法改正が段階的に施行されることが決まりました。動物に関わるすべての人が対象になる法律なので、改正内容はしっかり確認しておきましょう。

アニマルラインはブリーダーや里親を探している人のマッチングサポートを行っております。犬や猫のお迎えを考えている方はぜひご利用ください。